ある寒い冬の夜、若い教師が韓国ソウル郊外の古びた高校に赴任することになりました。

学校の周囲には木々が生い茂り、昼間でも薄暗く、夜になるとその薄気味悪さはさらに際立ちます。

冷気

赴任初日、夜遅くまで仕事をしていた教師は、ふと背後に「ゾクッ」とするような冷気を感じました。

古い校舎の窓からは外の闇が見えるだけ。

何もないはずなのに、温度が急に下がり、まるで凍えるような寒さが教師の体を襲います。


夜の廊下

その夜、教師が帰宅のために校舎を出ようとしたとき、不気味な感覚が再び彼を包みました。

寒気とともに背後から「カサッ…カサッ…」と床をこする音が響きます。

彼は振り返るが、誰もいません。

ただ、廊下の端に一人の長い黒髪の女性が、静かに立っているのが見えました。

顔は見えず、髪が顔を覆っていて、細い体は白い伝統的な衣装に包まれています。

「誰かですか?」と教師は声をかけましたが、女性は返事をすることもなく立ち続けています。

その瞬間、彼の周りの空気がさらに冷たくなり、息が白く凍りつくようでした。


失われた命の記憶

翌日、教師は学校の管理人に、昨夜見た女性について尋ねました。

すると管理人は顔色を変え、昔の話を語り始めました。

「彼女は処女鬼神(しょじょきじん)です。

何年も前に、ある学生がここで命を絶ったのです。

彼女は想い人に裏切られた末に自ら命を絶ち、そのままこの校舎に取り憑いたと言われています。

彼女が現れると、周囲が異様に冷えるんです。

そして…誰も彼女に触れてはいけません。」

教師はその話を信じかねていましたが、頭から離れないのは、昨夜見た女性の姿と、彼を包む寒気の感覚でした。

彼女がこの学校に囚われ、永遠に彷徨っているのかもしれないと、彼の心に重く響きました。


第三章 ー 冷たさの中の絶望

その後も教師は夜になるとその冷気に包まれるようになり、毎晩のように彼女の姿が彼の前に現れるようになりました。

ある晩、彼は鬼神の姿に耐えかねて、彼女に向かって歩み寄ります。

「君はここに囚われているんだ?なぜ私の前に現れるんだ?」

しかし、彼女は答えず、ただ静かに彼を見つめているようでした。

その瞬間、彼女の髪の奥からうっすらと彼女の顔が見えました。

目は悲しみに満ち、唇は震えているかのようでした。

彼は理解しました。

彼女は自分の苦しみと絶望を分かってほしかったのです。


終わらない冷気

それ以来、彼女は彼の夢にさえ現れるようになりました。

毎晩、冷気とともに彼女の哀しい姿が夢に浮かび、彼はその冷たさに身を凍らせるような恐怖に包まれるようになりました。

数か月後、教師は学校を去りました。

そして、彼は二度と夜の校舎には戻りませんでした。

彼女の悲しみは、誰かに触れられることなく永遠に続くのかもしれません…。

処女鬼神

処女鬼神(しょじょきじん、ハングル: 처녀귀신、Cheonyeogwisin、チヨニヨクイシン)。

韓国の民間伝承と都市伝説に登場する未婚女性の霊です。

マルミョン、ソンマルミョン、ソンガクシとも言われています。

もし、あなたが夜遅くに古い校舎や暗い廊下を通るときには、周囲の冷気に注意してください。

もしかすると、そこには深い悲しみを抱えた処女鬼神が、あなたを待っているかもしれません。

背後から「カサッ…カサッ…」という音が聞こえたなら、決して振り返らないでください。

彼女の視線があなたに向けられたその瞬間、寒気とともに永遠に彼女の世界に引き込まれるかもしれないのです…。

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