深夜の帰り道
その日、高校生の少女は友人の家で勉強会をしていました。
時間を忘れて熱心に勉強していると、夜の11時を回っていました。
最後のバスはとっくに過ぎていました。
友人の両親が帰宅し車で途中まで送ってくれましたが、少女は遠慮しました。
夜道を歩くのは慣れていると言って、途中で降りて一人で帰ることにしたのです。
町は随分静まり返っていました。
シーンとした静けさが耳を突き刺すようで、街灯の明かりだけが、少女の帰り道を照らしています。
普段何とも思わない道も、深夜だからか不気味な空気を感じました。
不気味な電話ボックス
家まであと少しというところで、道路脇に赤い電話ボックスが見えてきました。
イギリスの象徴的な赤い電話ボックスです。
普段なら何とも思わないのですが、この夜は妙に気になりました。
電話ボックスに近づくにつれて、少女の心臓がドクン、ドクンと早くなりました。
通り過ぎようとした時、「ジリリリ…」と電話が鳴り響きました。
少女は立ち止まり、どうすべきか迷いました。
電話に出てもいいのか、無視して帰るべきか。
悩んだ末、少女はギィィ…と軋む音を立てながら、電話ボックスのドアに手をかけました。
恐怖の電話
「はい?」と小さな声で話しかけると、一瞬の静寂のあと、「ザザ…」と不気味なノイズが混じり、かすれた老婆の声が聞こえてきました。
「あなた、今どこにいるの?」
少女は驚きましたが、素直に答えました。
「電話ボックスです」
「気をつけて。今すぐそこから逃げるのよ」
少女が理由を考えようとした瞬間、「プツッ」と電話が切れてしまいました。
不安と恐怖で体が震える中、少女はバタンと電話ボックスのドアを開け、急いで外に出ようとしました。
そのとき、電話ボックスの向こう側に人影が見えました。
少女は息を呑みました。
そこには、包丁を持った男がこちらを向いて立っていたのです。
少女は電話ボックスから出た後、急いで身を隠し、男が去るのを待ちました。
その後、全力で走って家に帰り、両親に事の末を話しました。
警察に通報しましたが、結局、犯人を特定することはできませんでした。
謎の老婆
この出来事から数日後、少女は祖母の家を訪れました。
リビングルームの棚に飾られた写真を見ていると、見覚えのない笑顔の老婆の写真を見つけました。
「おばあちゃん、この人誰?」
と少女が尋ねると、祖母は懐かしそうに答えました。
「私の母よ。あなたのひいおばあちゃんね。20年前に亡くなったの。」
その笑顔で写っている老婆は、電話ボックスで少女に警告した声の主のような気がしました。
少女は背筋がゾクッと凍る思いがしましたが、ニコっとした笑顔で少女を見守ってくれているんだと信じ、ホッとしました。
なくならない電話ボックス
この不思議な出来事は、町中に広まりました。
深夜の電話ボックスで鳴る「ジリリリ…」とした不思議な電話の噂は、多くの人の興味を引きました。
中には同じような経験をした人もいるそうです。
電話ボックスは、その後も町に残っています。
しかし、深夜にそこを通る人は稀です。
最近は、もし電話が鳴っても誰も出ようとはしません。
携帯電話が普及した現代でも、赤い電話ボックスは町のシンボルとして残されています。
赤い電話ボックスは、静かに町を見守っているのです。
もし深夜の帰り道、ふと赤い電話ボックスが目に入っても、立ち止まる前に少しだけ考えてみてください。
そこで「ジリリリ…」と鳴る音が聞こえてきたら、もしかしたら電話の相手はあなたを守る存在からの電話かもしれません。
深夜の帰り道、くれぐれも背後には十分ご注意を…。
電話に関連する映画
【Amazon Prime】ブラック・フォン
断線しているはずの電話のベルが鳴り響く。
https://amzn.to/4hjit6u









