アンデス山脈の足跡
古代文明の中心地で、特にインカ文明の遺跡が多く残っているアンデス山脈は、南アメリカ大陸の西海岸を縦断する、世界で最も長い山脈です。
ベネズエラから始まり、コロンビア、エクアドル、ペルー、ボリビア、チリ、そしてアルゼンチンまで続いています。
夜の冷たい風が吹き荒れる中、ペルーのアンデス山脈の斜面を一人歩く旅人がいました。
彼は途中、遠くで聞こえる「ザッ、ザッ」という足音に気づきましたが、周りには誰もいません。
不安な気持ちを振り払おうと、急ぎ足で前に進みました。
アンデスの孤独な旅路
アンデス山脈は高く険しく、夜になると寒さが骨身に染み込みます。
風が吹き抜けるたびに、「ヒュー」という音が旅人の耳に響きました。
彼は深い霧に包まれた山道を一人進みますが、どこかで視線を感じるような気がしていました。
ふと後ろを振り返ると、そこには薄暗い影が見えました。
その影は不自然にゆっくりと、彼の方へ近づいてきます。
迫りくる影
影が近づくたびに「ザッ…ザッ…」と地面を踏む音が重く響きました。
旅人は足を止め、恐る恐るその影を見つめました。
広いつばの付いた帽子を深く被り、白い肌を持つ男が、無表情で彼を見つめています。
「ピシュタコだ…」
旅人は恐怖に支配され、声を出すことも歩く事もできず、日記に書き記しました。
アンデスに響く伝説
翌朝、地元の住民が山道で倒れている旅人を発見しました。
彼は骨と皮だけで脂肪がなく、まるで体中の力を吸い取られたかのように亡くなっていました。
人々は彼の日記を読み、こうウワサしました。
「ピシュタコがまた現れたんだ…」
アンデスの夜には、今もなおピシュタコの影がさまよっているのです。
ピシュタコとは
ピシュタコは、アンデスの原住民にとって恐怖の象徴です。
ペルーのアンデス地方に伝わる悪霊で、人間の脂肪を吸い取ることで知られています。
見た目は、一般的に白い肌を持つ男性、もしくは外部の征服者や侵略者のようで、しばしば広いつばの帽子を被り、貧しい農民や旅人を夜道で襲います。
この伝説は、スペイン人の征服時代に由来しています。
スペイン人は死者の脂肪を用いて、自らの創傷を治療し、武器を作るために脂肪を利用していたというウワサが広まり、原住民たちはその行為に恐怖しました。
アンデス地方では脂肪が重要視されており、健康や強さの象徴とされていました。
そのため、体脂肪を失うことは生命そのものを失うことに直結し、ピシュタコは特に恐れられてきました.
ピシュタコ事件
2009年にペルーで起きた「ピシュタコ」事件は、ギャングによる一連の殺人として報告され、大きな話題を呼びました。
このギャングは、アンデス地方で60人近くの人々を殺害し、彼らの脂肪を収集したとされています。
逮捕されたメンバーの一人は、警察に対して、被害者の体を解体し、脂肪を抽出するために遺体を数日間吊るし、蝋燭の火で脂肪を溶かして集めたと証言しました。
彼らはこの脂肪をヨーロッパの化粧品市場に売るつもりだったと言われています
この事件は、ペルー国内で広く報道され、「ピシュタコ」という伝説的な怪物が現代に復活したかのように恐怖を引き起こしました。
アンデス山脈を旅するときは、一人で夜道を歩かない方が良いかもしれません。
ピシュタコがどこかであなたを待ち受けているかもしれませんから…。









